ゆかた染(長板中形)
ゆかたぞめ(ながいたちゅうがた)
概要
この長板中形は、3間半の張り板に生地を貼り、これに順次型紙に送り繁いで防染糊を型付けし、天然藍の染め液に浸して染めるものである。通常は分業で、大きく型付けと染めに分けられる。現在の保持者松原與七氏の父松原定吉氏は、この型付けの名手として重要無形文化財保持者(人間国宝)に指定されている(昭和30年)。型付け職人であった定吉氏だが、型作りから染めまでの一貫生産を目指し、現在の松原染織工房を立ち上げている。
張り板に「ふのり」で生地を貼り、へらで防染糊を引いて型付けしていく。型紙は文様によって異なるが、通常は一辺がほぼ布幅で、もう一辺がそれより短いものである。布の長さだけ、型紙をずらして糊を引いていく。型紙は文様の大部分を彫った主型と、模様の脱落を防ぐために残した部分にも糊を引くための消型の2枚を重ねて、ひとつの模様になる。生地を染め液に浸して染める浸し染めであるためために、防染糊は生地をはさむように両面に引く。このすべての工程で、ずれやゆがみのないように糊を引かなければならない。
乾燥させた生地に「ご汁」(大豆の絞り汁と石灰の混合液)を引き、さらに乾燥させる。これを発酵させた天然藍の液に浸し、藍が発色したら、水で糊を洗いおとす。これを乾燥させて仕上げる。