愚見集
ぐけんしゅう
概要
佐賀藩士山本常朝が養子として迎えた山本吉三郎(常俊・権之丞)に対し、宝永5年(1708)に与えた、36ヵ条からなる教訓書。武士の心得と日常生活の指針が示されている。
山本常朝の口述内容等をまとめた武士道論「葉隠」の筆録者である田代陣基(つらもと)が佐賀城下北郊の黒土原(くろつちばる)草庵に住していた常朝のもとを訪ねるのは「愚見集」が書かれた2年後の宝永7年のこと。従って内容的には「葉隠」と重複する部分も多く、「葉隠」の中には「この事、愚見集に委し」などの文言も見られる。
「葉隠」は11巻すべてが常朝の口述内容ではなく、巻三以下には藩政史料や聞書などから田代陣基が編纂した可能性が強いとされる。そのため「愚見集」は「葉隠」の口述以前から常朝が持っていた思想を伝えるものとして貴重である。