黄釉双龍戏珠紋素三彩大盘(康熙官窯)
おうゆうそうりゅうしゅもんそさんさいおおばん
概要
皇帝専用の文様「五爪の龍」
中国の明から清時代までにおいて中国では龍の爪の数に対する明確な決まりが存在しました。
明の初代皇帝は元の規則(五爪二角の龍文が皇帝専用の文様として規定。五本の爪をもち、頭に二本の角をはやした龍が権力のシンボルとして定めた。)を踏襲し、皇帝の象徴である龍は5つの足の指(または爪)。帝国の慣習としての貴族や高級官吏へ向けられた龍は4つの爪を持つと定め、3つ爪の龍は下級官吏や一般大衆に愛用された。(様々な明朝の唐物で広く見られる)。皇帝を除いたいかなる人物でも、完全に金色な5つ爪の龍を利用するのは死罪であった。適切な爪の数や色を利用しなかった場合、罪人の一族もろとも処刑するに値する反逆罪とされた。こうした規制にも関わらず、龍文は一般庶民にも人気がありました。明末清初には密かに焼かれた民間窯製の5つ爪龍文が出回っており、乾隆帝は龍文の独占を諦める詔を出しました。
「素三彩」素三彩は、釉薬(ゆうやく)をかけずに素焼(すや)きした白磁の素地(これをビスケット地と通称する)に、直接低火度の色釉を用いて文様をあらわす技法である。深みのある色調とやわらかい描線に特徴がある。赤色釉を除いて、緑・黄・紫などの色で、絵や文様を描いたもの。怪獣が最も珍重され、大物がこれに次ぎ、花鳥は普通だがこれもまた価値は高い。素三彩の大瓶は欧米で愛好され、黒地のものをブラック・ホーソン、緑地のものをグリーン・ホーソンと称する(ホーソンはサンザシの意)。中国、明代後期に始まり、清代に盛行した陶磁器。中国清代の康熙年間(1662-1722)に多く産出された。
こちらの美術品は、一足だけ龍の爪が4本になっています。これは今でこそ価値が倍増する作品ですが、当時であれば命を落とされるミスとなるため、封建社会の時代にどのようにしてこの美術品が残されたのか考えさせられます。非常に貴重価値の高い美術品です。
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名古屋東洋官窯陶磁美術館