袈裟襷文銅鐸
けさだすきもんどうたく
概要
銅鐸(どうたく)は、青銅でつくられたカネです。紀元前3世紀頃に、中国や朝鮮半島から、日本に伝わりました。初期の銅鐸は、高さ数十センチの小さなもので、吊り手に紐(ひも)を通して使ったと考えられています。その内側には木や動物の角などでつくった舌(ぜつ)を吊るして、音を鳴らしていました。そのため内側には舌があたった痕(あと)が確認できるものもあります。
銅鐸は、時代が下るにつれて大型になり、それと同時に装飾的になって、鳴り物としての機能が失われていきます。このような変化は「聞く銅鐸から見る銅鐸へ」といわれています。この銅鐸は、高さ1メートル以上、重さも15キロを超え、もはや簡単に吊り下げることはできない大きさです。吊り手は薄く、大きな飾り耳が付けられており、まさに「見る銅鐸」として儀礼的な力を発揮していたと考えられます。
博物館で見る青銅器は青緑色ですが、つくられた当初は金色に光輝いていました。当時の人々にとって銅鐸は、これまで見たこともないような色と、聞いたこともないような音を放ち、農耕に関わるまつりや、ときに力の象徴として、地域の統合に関わるまつりに使われたと考えられます。