風神雷神図屏風
ふうじんらいじんずびょうぶ
概要
右側に風神、左側に雷神が描かれた屏風が2枚でセットになったものです。風や雷といった、人間には抗えない自然の大きな力を、神の姿を借りてちょっとユーモラスに描いています。
風神も雷神も、衣が風にはためいて、左から右への強い風の動きを感じさせます。緑色の風神は右の方から画面に飛び込んできたかのような勢いがあり、対する白で描かれた雷神は足を踏ん張って風神の動きを受け止めているかのようです。墨をにじませた雨雲のような部分が、空間の奥行きを感じさせ、また風神と雷神の色合いをくっきりと際立たせています。もともと俵屋宗達(たわらやそうたつ)が描いた国宝「風神雷神図屏風」(京都・建仁寺蔵)を、尾形光琳(おがたこうりん)が忠実にトレースした作品です。宗達の風神雷神図との違いはいくつかありますが、宗達版で下界を見下ろしていた雷神の視線の向きは、光琳版では風神をまっすぐ見るように変えられています。風神と雷神は視線を交錯させ、息を合わせてダンスをしているかのような「コンビ感」があります。風神と雷神を一体として捉え、調和性を重視して描いているのが光琳の「風神雷神図屏風」の特徴でしょう。
ちなみに、この作品の裏に、酒井抱一(さかいほういつ)があとから描き加えたのが「夏秋草図屏風」です。作品保存のため、表と裏に分けられ、現在はそれぞれ別の屏風になっています。雷神図の裏には雨に打たれた夏草が、風神図の裏には、風神が巻き起こした風に吹かれているかのように秋草が描かれていました。