マハーラクシュミー
マハーラクシュミー
概要
インドでは、インド神話や、シヴァ神、ヴィシュヌ神などのヒンドゥー教の神々、王の肖像や歴史的なエピソード、男女の恋愛などさまざまなテーマを緻密なタッチと鮮やかな色彩で描いた、細密画とよばれる絵画のジャンルが発達しました。多民族国家であるインドでは、細密画の表現も地域によってさまざまで、それがまた魅力であるともいえます。
ラクシュミーは富、幸運、愛、美、喜び、繁栄などを司る女神です。マハーは「偉大な」という意味です。ラクシュミーは、ヒンドゥー教の最高神のひとりであるヴィシュヌの妻であり、インド神話にも登場するほどの古くから信仰を集めた女神です。やがてラクシュミーは仏教に取り入れられると、吉祥天と呼ばれるようになります。
この絵は、蓮池からひときわ大きな赤い蓮の花が咲き、その上にラクシュミーが姿を現した場面を描いています。ラクシュミーは横顔ですが、眉間にも目が描かれ、三つ目であることがわかります。頭の上に宝冠を戴き、後ろには金色の光背を表わしています。4本の腕があり、それぞれの手には赤い蓮の花や白い仮面、経典を持っています。
顔に三つ目を表わし、手に白い仮面や経典をもつなど、ヒンドゥー教の一般的なラクシュミー像と異なる表現も認められる大変興味深い作品です。