ハヌマーンのラーマへの会見(ラーマーヤナ)
ハヌマーンのラーマへのかいけん(ラーマーヤナ)
概要
インドでは、インド神話や、シヴァ神、ヴィシュヌ神などのヒンドゥー教の神々、王の肖像や歴史的なエピソード、男女の恋愛などさまざまなテーマを緻密なタッチと鮮やかな色彩で描いた、細密画と呼ばれる絵画のジャンルが発達しました。人物の描き方や色使い、構図などは、時代や地域によっても異なり、実にバラエティ豊かです。この作品は、インド西北部(せいほくぶ)に位置するメーワール地域の特色をもつとされる細密画です。
『ラーマーヤナ』は古代インドの叙事詩で、ヒンドゥー教の聖典の一つにも数えられています。ラーマという王子の妻であったシーターが、ラーヴァナという鬼神の王に誘拐されたため、ラーマが妻を取り戻すために大軍を率いてラーヴァナに立ち向かうという物語がつづられます。
ハヌマーンはインド神話に登場する猿族の一人で、顔が猿、体が人の姿で表されます。『ラーマーヤナ』の中でハヌマーンは、シーターが南海の島に捕らわれていることを発見し、王子ラーマに知らせます。この作品は、その両者が会見する場面を描いたものと考えられます。