阿須賀古神宝類 松椿蒔絵手箱
アスカコシンポウルイ マツツバキマキエテバコ
概要
総体濃梨地の手箱で、意匠はすべて松と椿で統一している。蓋表から蓋裏・各側面にかけて、金高蒔絵・薄肉蒔絵・截金(きりがね)・金銀貝で土坡に松・椿樹を表わし、内に組み込まれた大小2個の懸子の内外側面にもその折枝を配している。さらに、側面に打たれた金銅製紐金具も椿樹が高肉彫で意匠されている。また、中には白磁皿・銅製菊花形皿の他、手箱同様松・椿が精巧に線刻・鍍金された唐花双鶴文鏡・銅製薫物箱・同歯黒箱・同白粉箱・同鋏・同鑷・同軸眉作が納められているている。本品は旧阿須賀神社古神宝の1つで、熊野速玉大社伝来の梛・桐・橘・牡丹などを象徴的に意匠した手箱類と同一製作になるもので、古記録に拠って明徳元年(一三九〇)に足利義満らが奉納したものとされている。