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菊蒔絵手箱

きくまきえてばこ

概要

菊蒔絵手箱

きくまきえてばこ

漆工 / 室町 / 南北朝 / 九州 / 福岡県

福岡県

南北朝時代~室町時代初期

木製で、長方形、合口造の手箱である。総体に黒漆塗とし、平目粉を蓋と四側面には密度濃く蒔き付け、身の底は淡く蒔き付ける。蓋と身の口縁には錫製の置口を巡らす。身の長側面ほぼ中央に配された銀製鍍金紐金物は、菊花を九曜文形に連ねて高彫りで表して座とし、菊花形を高肉彫した鐶付に長円形の銅製鍍金の鐶を付す。菊花の花心は線刻で表す。
 蓋は、やや高い甲盛が緩やかに立ち上がり、蓋の四周の肩には塵居を設ける。蓋表には、土坡に八重菊の菊枝の図様をやや左よりに大きく表し、小さい飛び岩を右下に配する。菊花、茎、葉はいずれも金の薄肉高間貴恵を貴調とし、菊花の一分は銀を主成分とする合金製の金貝を嵌め、花弁を付描きで表す。花心にはそれぞれ銀切金を集めて蕊とする。菊花はいずれも複弁で、正面、裏菊、横見菊、蕾など様々な様態の表現が見られる。土坡は、金の薄肉高蒔絵および研出蒔絵で表し、縁取りに銀切金を二列に平置して、描割り技法とともに土坡の起伏と重なりを表す。また、土坡の所々に笹、忍草等の下草を付描きで配する。
 蓋と身の側面の図様は、長短側面に続く構図で土坡を連続させ、菊枝を身から蓋側面にかけて描き表す。蓋裏は、同技法を用いてほぼ同様の図様を表し、さらに土坡の際に付描きによる水波文を表す。
 身の内面は、牡丹菊唐草文の銀襴を内張とする。
 なお、蓋側面の四辺と蓋裏の一部、および身の四角から底辺際などにかけて後世の補修が認められる。また、銀襴および銀製鍍金紐金物は後補である。

縦24.0 横31.3 高18.5 (㎝)

1合

九州国立博物館 福岡県太宰府市石坂4-7-2

重文指定年月日:20090710
国宝指定年月日:
登録年月日:

独立行政法人国立文化財機構

国宝・重要文化財(美術品)

伝統的意匠として尊ばれた菊花文様を全体に配した長方形隅丸合口造の手箱である。蓋表は土坡に菊枝の図様を表すが、菊の茎、葉、花は金の薄肉高蒔絵の技法を用い、菊花の一部は金貝を打ち、花弁を付描で描いている。土坡は金の薄肉高蒔絵および研出蒔絵で表し、縁には銀の切金を濃密に置いて縁取りとする。身側面や蓋裏もほぼ同様の技法を用いて同じ意匠を表している。

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キーワード

/ 蒔絵 / 高蒔絵 / 薄肉

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