高坏
たかつき
概要
この土器は、盛り付け用の高杯(たかつき)です。本格的な水田稲作が始まる弥生時代になって生まれた器です。人びとの食生活は米を中心にしたものに変わり、土器にも変化が起こります。煮炊きをする甕(かめ)、貯蔵用の壺、そして盛り付け用の高坏という3つの器種が生まれたのです。
弥生土器は焼くときの温度が縄文土器よりも高いので、縄文土器と比べると色が赤っぽくて硬いのが特徴です。また、弥生時代の中ごろには回転台を使って土器を作るようになるので、真上から見るとゆがみのないきれいな円になっています。さらに、口縁部には、櫛目の文様が等間隔できれいに入っています。これも回転台を使っている証拠でしょう。
甕、壺、高坏の3種が揃う弥生時代前期の土器について、これらがたくさん出土した福岡県の川の名をとって、遠賀川(おんががわ)式土器と呼んでいます。遠賀川式土器は、九州地方から東北地方まで広く各地で出土しており、稲作文化が日本列島各地に広まったことを暗示しています。