古今和歌集切「やましろの」
こきんわかしゅうぎれ やましろの
概要
もと冊子本で、『古今和歌集』巻第十五(恋五)の題知らず詠み人知らずの和歌5首(順に国歌大観番号759、欠番、760-762)を、各首2行ずつ計10行に書写した新出の断簡。2首目「ことてしは」は、流布本の定家本に見られない異本歌で、異本系統の元永本等諸本に見られるもの。また、4首目下句「われそかすかく君かこぬよは」は、定家本では「君かこぬよはわれそかすかく」となっており、この点も本作品が異本系統に属することを示す。平安末期から鎌倉初期の歌人である寂蓮(1139?-1202)筆の伝承をもつが、本作品は寂蓮の基準作と比べると自筆とは認められない。しかし、法性寺流をうけた鎌倉時代前期に特徴的な雄渾な書風を示す。