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単鳳環頭柄頭

たんほうかんとうつかがしら

概要

単鳳環頭柄頭

たんほうかんとうつかがしら

考古資料 / 古墳

出土地:埼玉県皆野町 稲荷塚古墳出土

古墳時代・6世紀

鉄製 銀象嵌 金象嵌

全長9.5㎝ 環頭短径4.5㎝ 環頭長径5.5㎝ 環頭厚1.2㎝ 柄長5.0㎝ 柄厚0.5~1.0㎝

1個

 柄頭(つかがしら)とは、刀の柄につける金具のことです。丸い持ち手の真ん中に、くちばしをもった鳥のようなものが見えますか。これは、中国の伝説上の鳥である、鳳凰(ほうおう)です。持ち手を含む全体は鉄で作られ、くちばし、目、羽にあたるところには銀と、一部は金で象嵌(ぞうがん)がなされています。象嵌とは、模様などを刻み込んで、そのくぼみに金や銀などの別の材料をはめ込むことです。さらに、鳳凰の頭の上は、ソケットのようにパーツをはめ込めるようになっています。ここには、今は失われていますが、銅に鍍金(めっき)をした金銅(こんどう)製の冠毛(かんもう)がはめ込まれていたと考えられます。一般的に、柄頭の素材には、鉄ではなく金銅(こんどう)が使われます。この柄頭のように、金、銀、鉄、金銅という4種類の金属を組み合わせるのは、大変珍しいことです。また、輪になった部分に表された模様に注目すると、2匹の龍が互い違いになり、交差している姿が現されています。
 この柄頭は、一緒に伝わった当館所蔵の刀の一部であると考えられていました。しかし、2017年から2019年まで行われた修理とその後の調査研究により、そうではないことがはっきりしたのです。この柄頭とセットになっていたはずの別の刀は調査当時、地元に残したとの記録がありますが、現在は所在が不明です。
 この柄頭は、5世紀後半から6世紀に朝鮮半島に存在した小国の一つである大伽耶(だいかや)で流通した刀と多くの共通点がみられます。その制作には、朝鮮半島とのつながりが深い工人がかかわっていたと考えられ、当時の日韓交流を考える上で、大変貴重な資料です。

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キーワード

柄頭 / つかがしら / / 大刀

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