川中島合戦図屏風
かわなかじまかっせんずびょうぶ
概要
川中島合戦のうち、天文23年(1554)と弘治2年(1556)の合戦とを描く。緻密な筆致で人物を描き、群衆描写に城砦などの景物を組み合わせて、見事に構図をまとめ上げる。成立は17世紀後半、狩野派の流れをくむ絵師の作と思われる。描かれている合戦の内容は、紀伊藩の越後流(上杉流)軍学者・宇佐美定祐が著した『北越軍記』・『川中島五箇度合戦記』などにおける記述とよく合致している。このようなことから、彼を召し抱えた紀伊藩初代藩主徳川頼宣が、定祐に監修させて、製作したものと推測される。