藤原兼輔像(時代不同歌合絵断簡)
ふじわらのかねすけぞう
概要
和歌三行が散らし書きされ、「時代不同歌合絵」の藤原兼輔像の断簡と知られる。「時代不同歌合絵」は、『古今』、『後拾遺』、『後撰』、『新古今』などの作者を左右各五十人選び、各人の歌三首ずつをもって計百五十番の歌合を編み、これに計百人の作者の像容をあわせ描いたもので、歌合の撰者は後鳥羽院とされる。本来二巻本あるいは三巻本であったが、現在いずれもみな断簡として分散する。一人三首がふつうであるが、ここでは異例の一人一首が描かれる。<BR/>像容は一人三首本と似てほとんど墨描きされ、面貌の描写に主眼をおいて、唇にわずかに朱を点じ、その姿は端正の趣がある。この種の断簡は東京国立博物館の「大宰大弐重家像」など数点が知られるが、本作品は時代不同絵中でも優作に属し、鎌倉時代後期の制作が推定される。
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