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実躬卿記〈自筆本/〉

さねみきょうき

概要

実躬卿記〈自筆本/〉

さねみきょうき

その他 / 鎌倉 / 近畿 / 大阪府

大阪府

鎌倉

51巻

大阪市中央区道修町2-3-6

重文指定年月日:20000627
国宝指定年月日:
登録年月日:

公益財団法人武田科学振興財団

国宝・重要文化財(美術品)

 『実躬卿記』は、権大納言正二位三条実躬の日記である。日記の別名に『先人記』『愚林記』『貫弓記』とも呼ばれている。記主の実躬は、権中納言正二位公貫の三男で、右近衛中将、蔵人頭を経て、永仁六年(一二九八)に参議となり、正和五年(一三一六)権大納言に到る。文保元年(一三一七)五四歳で出家し、法名を実円と号した。没年は未詳である。
 日記の遺存する期間は、弘安六年(一二八三)一九歳から徳治三年(一三〇七)四三歳までの二五年間に及ぶ。
 内容は、蔵人頭を経て権中納言に到る時期にあたり、朝廷の政務や儀式について等を詳細にわたって記録している。紙背は、具注暦・仮名暦や書状類、なかには歌合【うたあわせ】の一巻があり、鎌倉時代の未紹介の文書としても重要である。
 体裁は、原表紙が付けられているが、軸木は付けられていない。軸を付けない方が巻子として扱いやすいためで、当初の姿をとどめている。実用の巻子本の使われ方もうかがえて貴重である。なお、重要文化財の尊経閣文庫所蔵本も、軸や裏打ちを施して改装しているが、軸が本来なかったことが認められる。
 本文は、整然と書かれている。嘉元四年(一三〇六)の仮名暦を用いて弘安六年記が書かれていることからわかるように、実躬が日々の日記を後年に整理し、書写した清書本である。『実躬卿記』は自筆本として、もと三条西家に伝来し、『実隆公記』にも散見している。
 尊経閣文庫所蔵二三巻の他に、宮内庁書陵部・東京大学史料編纂所・早稲田大学に巻子や断簡を所蔵し、本件を合わせて、『実躬卿記』の全体が完結する。
 鎌倉時代後期の代表的な日記として、重要な古記録原本である。

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