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二彩獅子 長次郎作

にさいしし ちょうじろうさく

概要

二彩獅子 長次郎作

にさいしし ちょうじろうさく

工芸品 / 安土・桃山 / 近畿 / 京都府

長次郎

京都府

桃山時代/1574

素地は鉄分の多い赤褐色陶胎をなす。頭部と胴部を粘土紐巻き上げ造りで円柱状に成形して接合し、その後に四肢をつけて、最後に巻毛を飾り獅子像とする。
 全体は、前肢を屈し、後肢を伸ばして尻を高く上げ、頭部をわずかに左に向けた姿とする。たてがみは先端を少し巻いた毛束で表し、二段に垂れ、両肩から背中にかかる。上段は巻貝状に表す。両耳は外側に垂れ、女をいからし、口はわずかに開いて食いしばり、前歯・牙がのぞく。下あごに鬚を毛束で表す。尻尾は中央をたてがみと同様に先端を少し巻いて毛束で表し、側面は巻貝状の毛束とする。両前肢は後方に、両後肢は前方と後方に、先端を少し巻いた毛束を表す。なお毛束には全て線刻を施す。尻尾の下に小さな円孔を穿ける。
 腹部に左記の銘文が篦彫りされる。
 「  天正二
    季 春
   依 
    命
    長次良
     造之」
 獅子像全体に比較的厚く白化粧を施した後、素焼をおこない、その上に腹部を除き全面に緑釉と白釉(透明釉)を塗り分け二彩とする。前肢の胴底部に穿けられた二箇の比較的大きな孔では、内側に粘土紐造りの痕跡がよく残され、表面には厚く白化粧が確認される。なお、永年土中にあったため、鉛釉である緑釉と白釉は大部分が剥離するが、頭部および胴部の一部に白釉や緑釉が確認される。
 耳先や一部の巻毛先端を繕う。後肢底の台座は後補。胴底部の一部(底板か)が欠失する。

総高35.0 総長38.5 幅13.5 (㎝)

1軀

財団法人樂美術館 京都府京都市上京区油小路中立売上ル油橋詰町84

重文指定年月日:20090710
国宝指定年月日:
登録年月日:

財団法人樂美術館

国宝・重要文化財(美術品)

桃山時代ならではの躍動感に溢れた樂焼の獅子像である。近年に詳細な調査が実施され、中国南部の華南三彩の技法を取り入れた白化粧次に緑釉と白釉(透明釉)が施された二彩であることが確認された。また童子に腹部の銘文「天正二年春依命長次良造之」は製作当初のものであることが改めて確認された。鉄分の多い赤土の胎土や透明釉は初期の長次郎の作品と同一のものとされており、これにより銘文も長次郎によるものと考えられる。
 本獅子像は、長次郎による樂焼きの成立時期を確定するのみならず、京焼の成立を考える上でも学術的に極めて重要な資料である。

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キーワード

/ 三彩 / /

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