漆刷毛製作
うるしばけせいさく
概要
伝統的な漆刷毛は、人間の毛髪や馬毛などを主な原料とし、入念な手作業で製作される。上塗用の刷毛には毛髪が用いられるが、漆が嫌う油気がなく、薬品による傷みもない、切ってから長い間乾燥させた日本女性の髪が最適であるといわれる。よく選別された毛髪を糊漆で固め、檜板で合わせて十分に締めつけ、鉋で整形して仕上げる。塗師【ぬし】(漆塗技術者)は、漆で固まった毛先を切り出し、叩きほぐしてから塗りに使用する。漆刷毛は、使い手の好みに合わせて毛の部分の厚みや硬さなどを調整して作られており、多様な注文に応じて良質な漆刷毛を製作する技術を修得するには、長い経験を要する。
漆刷毛は、漆芸の制作や漆工品修理の漆塗りの工程に用いられ、塗りの良否を左右する重要な用具であり、無形・有形の文化財の保存に欠くことができないものであるが、現在、その製作技術者は全国でも数名のみとなっている。
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国指定文化財等データベース(文化庁)