裸婦

絵画  油彩画 / 昭和以降 / 日本 

前田寛治 (1896-1930)
まえたかんじ
1928(昭和3)年
油彩・キャンバス
90.9×116.7
額装

 前田寛治は横たわる裸婦を繰り返し描いている。ヴェネツィア派以来の伝統をもつ、最も西欧絵画らしいこのモチーフを描くことで、彼が油彩画の伝統に対して真っ向から挑戦していたことをよく示している。
 何よりもまず、この世界に実在するものの存在感を量感によって表現するということ。前田はそれを西欧絵画の伝統に学びながら、独自の方法で成し遂げようとしたのである。彼のいう写実とは、見えるものをただ正確に写し取ることではなかった。
 ここでも説明的な要素は一切省かれ、大きな筆触で全体が捉えられている。裸婦の輪郭には特別の注意が払われ、裸婦はくっきりと浮かび上がると同時に、周囲の空間の中に確実に位置づけられている。色彩相互の関係によって奥行きを獲得した空間が、空虚ではなく、秘奥に充実した感じを与えるのも前田の優れた特質であろう。
 彼の描く裸婦はしばしば未完成に見えるが、これは彼の探求が相当に困難をはらみ、常にぎりぎりのところで実在感を探っている証拠であるように思われる。しかし未完成の感じを与えながら、この裸婦では確実にある量感が獲得されており、日本近代の油彩画にはまれな真のモニュメンタリーが生まれている。(土田真紀) 

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