河北町指定有形文化財
絵馬 七福神宝船図
概要
河北町指定有形文化財
絵馬 七福神宝船図
山形県
江戸中期/1726年
図柄等 縁起物として盛んに描かれ、民衆にもてはやされた七福神宝船図の一つである。神社に奉納し、永く掲額するため、良質の杉板に直接描かれている。七福神と財宝を乗せた宝船が、順風を満帆にして大海原を突き進んでおり、帆には大きくうめばちの家紋、空には鶴、波間には亀や鯛が遊んでいる。富と慶の限りを尽くした豪華絵馬である。
現状 拝殿左陣の梁上部に掲額されている。年代を経て全体的に色がくすんで褐色化しており、顔料の剥落部分も少なくないが、墨による描線など生き生きと残っている。
表現の特徴 波の表現などに様式的な面も見られるが、躍動する七福神たちの位置取りに十分な空間を与えるために、後部船幅を極度に広げたり、帆柱を主役たちの背後に描くなど、自由奔放な表現が目を引く。ひときわ目立つのは、逸見家の家紋うめばちである。多くの宝船図は、帆に「寶」の文字が描かれるのであるが、施主の求めによるものか、絵師の着想によるものか、家紋を大きく描いている。しかも風を受けてはらむ帆の曲面に敢えて合わせず、真円に描かれていて、ここだけが浮き出して見える。加賀白山神社、ひいては前田家からの流れを誇示し、一族の末永くゆるぎない隆盛を祈願する施主の思いが伝わってくる。
作者は不明であるが、洗練された描線や調和のとれた配色などから、名の通った絵師の作と思われる。
寸法 縦七九㎝ 横一〇九㎝(額を含む。額幅四・八㎝)
1枚
山形県西村山郡河北町西里650番地
河北町指定
指定年月日:20110421
白山神社
有形文化財(美術工芸品)
由来 河北郷土史研究会平成二十一年発行『河北町の絵馬―絵馬に託した人々の祈り』の記述によれば、河北町に現存する多くの絵馬の中でも江戸時代のものは十点と稀少であり、とりわけ享保十一年(一七二六)奉納のこの絵馬は格段に古く、本町最古のものであること。奉納者の逸見俊賀は、江戸時代前期の豪農逸見庄左衛門に連なる人物で、逸見家の氏神ともいうべき白山神社に、一族の繁栄を報謝したものであることがわかる。