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孕んだ女

概要

孕んだ女

油彩画

河原温  (1933-)

カワラ、オン

昭和29年/1954

油彩・キャンバス・額・1面

140.0×134.5

右下に署名、年記

8回日本アンデパンダン展 東京都美術館 1955

28
浴室(妊婦)
Bathroom(Pregnant Woman)
1954年
油彩・麻布
140.0×134.5cm
右下に署名、年記:オン・カワラ 54
日本を離れそれまでと一変してコンセプチュアルな作家として、日常の生と時間をテーマにした連作の仕事を続ける河原は、日付だけを書きつける《Date Painting(日付絵画)》で著名であるが、1950年代には、日本において、人間の極限状況を表現した一連の作品でセンセーションを巻き起こしでいた。戦後の混乱から安定へと時代状況が進む中で、戦争の悲惨とその後の戦争責任の風化、新たな動乱の予兆といった時代閉塞に対峙していた焼け跡世代は人間の条件を現実の状況の中に見つめていた。河原はそうした実存的な意識で人間の置かれた状況をゆがんだ密室の中の惨劇や、物と断片化された身体の奇妙な増殖として、《浴室》と《物置小屋の出来事》の素描連作に集約した。この油彩作品においては、それを一点モニュメンタルなものとして描いている。上下左右の方向性を失ったタイル貼りの浴室の中に切断された身体が日常的な物とともに配置されるが、それらは奇妙な空間感覚の中で、むしろ整然とバランス良く配置されていて不安定さの中で妙に静的な印象を与える。それらの顔の表情は空虚を見つめる無気味ささえ持っている。中央の妊婦だけが五体満足で、絵を見る私達を見返している。計算された問いがここに仕掛けられている。「人間」とは何なのかと。

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キーワード

oil / 表現 / 人間 / 油彩

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