アルマ・マーラーの肖像
概要
アルマ・マーラーの肖像
186 ココシュカ、オスカー (1886−1980) アルマ・マーラーの肖像 1912年
オーストリア、ペヒラルン生まれ。ウィーンの工芸学校に学ぶ。クリムト以降のウィーンで活躍。1910年ベルリンに移って雑誌『シュトゥルム』の同人ともなる。第一次世界大戦に従軍。19−24年ドレスデン美術アカデミー教授。その後ヨーロッパ各地、アメリカで個展や回顧展を開催しながら、自ら「私は放浪者だ」というように生涯旅を続けた。
この作品はウィーンの美神とうたわれた、作曲家グスタフ・マーラーの未亡人アルマ(1879−1964)を描いたもの。この時ココシュカは26歳、前年夫を亡くしたアルマとは恋愛関係にあった。この作品を仕上げたその日アルマ宛の手紙には「君の肖像は今日完成した! 僕の最高傑作だ」と書いている。荒々しいタッチがそれ自体意志をもっているかのように激しく画面全体を覆う。ココシュカにとって絵画は、写実ではなく表現そのものだったといえよう。その表現主義的傾向は特に肖像画の分野でひとつのスタイルを築き、現代美術にも大きな影響をもたらした。
所蔵館のウェブサイトで見る
東京国立近代美術館