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紅地南天牡丹銀杏唐草模様舞衣

べにじなんてんぼたんいちょうからくさもようまいぎぬ

概要

紅地南天牡丹銀杏唐草模様舞衣

べにじなんてんぼたんいちょうからくさもようまいぎぬ

染織 / 能楽 / 江戸 / 東京都

江戸後期・19世紀

丈160.0 裄105.4

1領

渋谷区千駄ヶ谷4-18-1 国立能楽堂

収蔵品番号 NS96

未指定

紅地に平金糸と色緯で表した舞衣。土坡に南天と牡丹を、胸に2か所、袖に2か所と背中の合計5か所に配し、裾に銀杏唐草模様を表す。舞衣は長絹に似た表着で、通常「楽」を舞う曲目に用いられる。長絹よりも丈が長く、前身頃に衽が付き、脇が縫い塞がれているところが異なっている。
 漢方でのど薬として知られる南天は、赤い小さな実を付けることから庭木として賞翫される。江戸時代には音が難転に通じることから吉祥文としても喜ばれた。婚礼調度の枕に悪夢を喰う霊獣=獏と共に南天が描かれたのはその典型である。牡丹は中国原産で花の王とされ、富貴花とも呼ばれる。日本でも富貴・長寿の吉祥文として貴ばれた。
 銀杏は東洋にのみ生育する樹木で、古くから社寺に植えられる。その実は銀杏となるが、実がなるまでに孫の代となる程時間がかかるため、公孫樹の別名を持つ。そして年月が経つほどに実を多く付けるため、長寿・繁栄に通じる。またその葉は黄金色で、形も末広がりであることから、やはり吉祥文としてこの装束に配されたのであろう。

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