手彫り薩摩切子格子に魚子文羊頭形ガラス筆洗
てぼりさつまきりここうしにななこもんようとがたがらすひっせん
概要
手彫り薩摩切子格子に魚子文羊頭形ガラス筆洗
てぼりさつまきりここうしにななこもんようとがたがらすひっせん
江戸時代後期/1850年~1868年
鉛ガラス
高7.4 長径10.7 短径8.5 比重3.71
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びいどろ史料庫コレクション
来歴:1977びいどろ史料庫→2011神戸市立博物館
参考文献:
・土屋良雄『薩摩切子』(紫紅社、1983)
・棚橋淳二「江戸時代のガラス器の比重(三)」(松蔭女子学院大学・松蔭女子学院短期大学『研究紀要』第28号 人文科学・自然科学篇、1986)
・土屋良雄「薩摩切子 藍色船形鉢」(『国華』第1212号、国華社、1996)
・サントリー美術館『一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子』(2009)
・神戸市立博物館『開館30年プレ企画 受贈記念速報展 和ガラスの神髄―びいどろ史料庫名品選図録』(2011)
・神戸市立博物館『まじわる文化 つなぐ歴史 むすぶ美―神戸市立博物館名品撰―』図録(2019)
黄色味を帯びたガラス素地の筆洗。正面には羊の角のような渦巻き、背面には巴文が彫り付けられています。両側面には斜格子に魚子(ななこ)文、口縁は鋸歯(きょし)状の切子がみられます。正面上部の渦巻文の円形がくずれている点、正面下部に配されたクモの巣文をみると、3辺の接点が微妙にずれている点など、棒状工具で曲面に切子を施すことの、技術的な難しさがみえてきます。
色被(き)せの薩摩切子の作例を含めて、数点の類品が確認されており、本作は手彫り薩摩切子の一例と考えられています。
【びいどろ・ぎやまん・ガラス】