中郷流宮岩
なかごうながれみやのいわ
作品概要
中郷流宮岩は上村中郷の国道152号線沿いに所在する。現状は地表部分の高さ約3m、周囲約20mの岩塊であるが、隣接する国道建設時の嵩上げにより2/3が埋没しているとみられ、旧状は鶏卵状と考えられる。岩の表面は、褶曲した石灰岩層とチャート層の互層が白黒2色の縞模様を呈し、1層の厚さは5~15㎝程度で、チャート層より石灰岩層がやや厚めの傾向がある。
岩の名前の由来は、所有者よると、時代は不詳であるが、岩の付近にあった祠が上村川の洪水で流れてしまったため「流宮岩」と言うようになり、流れ着いた先は「すわの宮」(祠がすわった)と呼ばれるようになったとの事である。「すわの宮」は流宮岩から1,000mほど下流の上町周辺と伝えられている。一方、上村川の上流にあった祠が氾濫により流出し、この岩に流れ着いたことから「流宮岩」と呼ぶようになったとの伝承もある。
中郷流宮岩の現在地は、中央構造線の西側の花崗岩系岩石が分布する内帯に位置しているが、流宮岩はチャートや石灰岩からなる岩塊であるため、本来は現在地に分布する岩石ではない。
流宮岩の東側を流れる上村川の東斜面上方約200mに中央構造線が通過する。中央構造線の東側は外帯で、赤石山脈の外帯は一般的に中央構造線に接した所から西側へ順に、三波川帯(結晶片岩等の変成岩)、秩父帯(石灰岩・チャート等)、四万十帯(砂岩・泥岩・石灰岩等)と地質帯が並んでいる。しかし、三波川帯は、程野の付近から南側では幅を急激に狭め、中郷では消滅するため、流宮岩の東側の中央構造線には秩父帯が接して分布する。こうした状況から、流宮岩は秩父帯の岩石からなる御池山から…