蒔絵南蛮人文鞍 まきえなんばんじんもんくら

越前北庄 井関作
エチゼンキタノショウ イゼキ
慶長9年(1604)
木に漆、蒔絵
高27.5 幅35.9 (後輪)高26.5 幅40.1
1背
池長孟コレクション
早川泰弘「蛍光X線分析による南蛮人蒔絵蔵の材質調査」志賀太郎「南蛮人蒔絵鞍の復元制作について」『福井市立郷土歴史博物館研究紀要』第11号(2003)

全体に黒漆をかけ、前輪、後輪(しずわ)の表側に南蛮人を金銀蒔絵の意匠を施した海有水干鞍(うみありすいかんぐら)。南蛮人やその従者をみると、両手を付いて腰掛けるような姿や、軍配を手にする姿など動的表現に富む姿態が描かれています。蛍光X線分析によって、金蒔絵部分には銀や銅を含む金を蒔き、銀色の平文部分には錫の薄板、銀の薄板を併用していることが指摘されています。また、平文の接着に用いた赤色漆はベンガラ(鉄)で着色されたもので、おきめ(下書き線)には朱(水銀)で着色された漆が使用されていると推定されています。
居木裏(いぎうら)に黒漆による銘「慶長九/七月/吉日/於越州北庄」「井関造之(花押)」と、力皮通穴(ちからがわとおしあな)の内側に確認できる井関の細工印「◇」から、近江国北郡出身(現滋賀県)の鞍部の家系の井関が北庄(現福井市)で製作したことがわかっています。南蛮意匠を採る漆工芸品という点に加えて、記録の残りにくい製作者、製作時期といった情報も今日まで伝来している稀有な作例です。

【名品2019】【南蛮美術】

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