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銅蝶形磬

どうちょうがたけい

概要

銅蝶形磬

どうちょうがたけい

金工 / 平安 / 長野県

出土地:長野県松本市宮渕出土

平安時代・長保3年(1001)

銅製 鋳造

1面

重要文化財

磬(けい)は、仏教の儀式のさいに打って鳴らす道具です。儀式を進める中で、僧侶がこれを打って、節目や合図とします。磬は現在でも仏教寺院でよく使われています。お寺の本堂を訪ねたら、仏像の前に置かれたお坊さんの座席のまわりを見てみてください。脇のほうに、枠に吊るされた磬を見ることができるかもしれません。専用の撥(ばち)で中央のあたりをたたくと、「カーン」という甲高い響きがします。
 磬は漢字の部首の中に石という字があるように、もともとは石で作られた、紀元前の古代中国の楽器でした。古代中国の磬は、音響の良い石材を「ヘ」の字形に作り、大きさを少しずつ変えたものを順番に吊るし、打ち鳴らして音階を出しました。その後、どのような経緯で、仏教に取り入れられたのかはよくわかっていません。日本の仏教で使われた磬は、石製ではなく青銅製の鋳造で、形は不等辺ではなく、左右対称の山形であるのが、最も一般的です。しかし中には、このように蝶や蓮華のような形に作ったものもあります。
 この磬は青銅の鋳造で蝶形に作られています。青銅を使うのは、音響がいいからです。中心には7つの円を組み合わせた文様が表されています。この蝶形磬は昭和14年(1939年)、長野県松本市の宮渕地区から、鰐口(わにぐち)という打ち鳴らす仏具とともに発掘されました。鰐口には長保3年(1001年)という年記が刻み記されていました。この2つは形式こそ異なりますが、ともに青銅製の打ち鳴らす仏具であり、しかも中央の7つの円を組み合わせた文様や唐草文様が全く一致することから、この蝶型磬も同じ1001年に作られたと判断できます。

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キーワード

/ 鳴らす / gongs / kei

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