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猿猴弄蟷螂図額

えんこうとうろうをもてあそぶのずがく

概要

猿猴弄蟷螂図額

えんこうとうろうをもてあそぶのずがく

金工 / 明治

香川勝広作

明治25年(1892)

真鍮地高肉象嵌

縦49.0cm 横27.7cm

1面

 左に大きな余白のあるゆったりとした空間のなか、秋草を背にして母猿が周囲に気を配りながらたたずみ、二匹の子猿が無邪気にカマキリと戯れています。額縁があってまるで絵画のようですが、これは様々な色の金属を組み合わせ鏨(たがね)などで細部をあらわしたものです。グレーの猿の毛には銅と銀の合金の「四分一(しぶいち)」、カマキリには金をそれぞれ用いて、銅と亜鉛(あえん)の合金である「黄銅(おうどう)」の地板に嵌め込み、モチーフを立体的にあらわしています。ほかにも猿の顔や秋草の葉は純銅である「素銅(すあか)」を使い、毛並みなどの細部は鏨を駆使しています。こうした金属による色の表現や細かい部分の表現は江戸時代までに刀剣を飾る金具で培われた技術が基礎となっています。作者の香川勝広は江戸時代にこうした刀装具を製作していた加納夏雄などに学び、夏雄の死後は東京美術学校(現在の東京藝術大学)教授となり、優れた美術工芸家である帝室技芸員となりました。この作品は香川勝広の絶頂期の作品としられる代表作です。

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キーワード

夏雄 / 彫金 / 加納 / 技芸

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