石器
せっき
概要
縄文時代早期の礫器6点とその素材6点、旧石器時代の石核1点で構成されている。特に、この時期の礫器は、九州に特徴的なものである。学史的には、昭和30年代後半に、本品の出土地である大分県丹生遺跡群で採集された同形態の礫器が、アフリカやインド等の大陸の石器と比較され、前期旧石器時代のものである可能性が指摘された。しかし、縄文時代の石器と考える者も少なくなかった。これら礫器の位置付けをめぐる議論は「丹生論争」、その後に発見された他遺跡の事例も含めて「前期旧石器存否論争」と呼ばれ、当時の日本考古学会を二分するほどの大論争を巻き起こした。このように考古学史を考える上でも貴重なものである。