花鳥蒔絵螺鈿書箪笥
カチョウマキエラデンショタンス
概要
こちらも机をかねた引き出し箪笥。十字架形の絵窓はめずらしいが、螺鈿による縁取り文様、すきまなく描かれた花鳥文、家紋とは限らない丸紋などは、初期の輸出漆器の特徴をよく示す。 西洋の城館では、こうした漆器を家具として常設した。長年にわたって紫外線を浴びた漆は光沢を失う。西洋ではニスを塗って修復したが、ニスは酸化しやすく、茶色くにごる。本品も全面にヤニ色の膜がかかったようであったが、このほど二年間の修復を経て輝きを取り戻した。修理後の初公開である。