和漢朗詠集抜書
わかんろうえいしゅうぬきがき
概要
和漢朗詠集より漢詩と和歌を交互に8首ずつ(ただし漢詩は冒頭2句のみ)、全16首を抜き書きする。和漢朗詠集は平安時代中期、藤原公任(966-1041)の撰になる詩歌集。成立当初から、詩歌が必須の教養であった宮廷社会で人気を博し、美麗な調度手本が制作され、以降も長く古典として、また漢文の幼学書や書の手本として広く尊重された。江戸時代にも装飾料紙や素紙に、和漢朗詠集の一部を抜き書きした作例も複数確認される。本作品は書の手本として作成された書巻と考えられる。装飾性は無いが、光沢ある良質な料紙に、漢詩を行草書で、和歌を仮名で揮毫する。整った丁寧な筆致で、平滑な料紙により墨色の濃淡の変化が良好にうかがえる。