水指(青海)〈備前/〉
みずさし(せいがい)
作品概要
本作品は、素朴な桶形を呈する水指であるが、器形は細部にわたり細やかで整った作行をなし、端正で完成された形姿を示し、整った口造りなどに認められるように明確に水指として製作された作品である。本水指は、一五世紀代の水指に見立てられる日常容器と、一六世紀後半代から始まる大胆な篦彫りによる加飾が施される水指との間に位置づけられ、水指創出期としての素直な形姿を示すとともに重厚荘重な作行をなす。室町時代に遡る作行優れた水指の最古遺例の一つであるとともに、和物茶陶の出発点をなす作品でもあり、茶道文化史上極めて価値が高い。武野紹鴎(一五〇二-五五)所持と伝える名物で、尾張徳川家に伝来した。