書状 紹二老宛 九月二日 「俄之儀候」
しょじょう しょうじろうあて くがつふつか にわかのぎそうろう
概要
急に思い立って御茶事に招待の書状で、急いだ速筆の省略した文字は読みづらく、前後の文意から判読した。文字通りの走り書きの要件のみの文面ではあるが、短い文面にも達者な筆鋒が踊って見える。大振りの文字は三藐院と通じるところがあり、古典に立脚した書風でありながら、独特の光悦流の真骨頂を表している。さすがに近世三筆と称されるわけである。紹二老は茶杓削りの名人で、利休茶杓の下削りをした千紹二、利休の娘婿である。
(『名筆へのいざない―深遠なる書の世界―』海の見える杜美術館2012 解説より)