線刻十一面観音鏡像
せんこくじゅういちめんかんのんきょうぞう
作品概要
縁を立てた鋳造の円形銅板に十一面観音坐像を線刻した比較的小ぶりの御正体である。十一面観音は蓮華座に坐し、右腕を膝前におろし、左腕は水瓶を載せる蓮華をとって胸前に立てている。像は蹴彫りによって柔らかな線で表され、頭上面の可愛らしい顔貌など、像容は全体的に穏やか、大らかで、画面一杯に大きく描くなど、平安時代後期の雰囲気が溢れている。
こうした古い鏡像は、近隣地域では鰐淵寺(出雲市)に多く所蔵されているように出雲地方によくみられるが、県内では墨書のものを含めて現在のところ7例が知られるのみである。