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木造観音菩薩立像(伝十一面観音)

もくぞうかんのんぼさつりゅうぞう(でんじゅういちめんかんのん)

概要

木造観音菩薩立像(伝十一面観音)

もくぞうかんのんぼさつりゅうぞう(でんじゅういちめんかんのん)

木像 / 江戸 / 東北

佛師寶賢坊(事績未詳)

江戸時代/1606

【形状】
[本体]一重蓮華座上に立ち、髪際で5尺8寸を計る、2面(現状)2目2臂の菩薩立像。両足を開き、正中線を左に傾けて立ち、頭部を正面に向ける[持物]
未敷蓮華[台座及び光背]一重楕円形(円形)蓮華座。足枘を納める枘孔2個あり
【品質】
[本体]一木造(いちぼくづく)り内刳(うちぐ)り素地(きじ)仕上げ一部彩色。彫眼(ちょうがん)[台座・持物]全てカツラ材とみられる一材製素地仕上げ

【法量(㎝)】
[本体]総高215.9(7尺1寸2分)[髻頂~台座地付]
像高199.4(6尺5寸8分)はつ髪さい際こう高176.8(5尺8寸3分)頂~顎42.3 面長20.5 面幅16.6 面奥20.8耳張(耳介)18.7 (耳朶)19.1肩張40.9 肘張44.4 袖張40.6 裾張32.9胸奥17.9(左右とも) 腹奥22.8足先開(外)20.1 (内)9.8最大奥41.7[右手第2指~衲衣奥]足枘 右 最大幅5.0×同奥7.0×同高5.5左 最大幅4.7×同奥8.1×同高5.4 持物 高(現状)17.0 最大径9.1 左手先材 最大長12.4 同高9.6 同幅8.6 台座 高18.0 径(左右)47.1 径(前後)44.4(頭体幹部材 最大幅44.4×同奥22.8×同高204.9)最大幅は肘張で、最大奥は右袖前面~背面で計測(背板材 最大幅35.5☓同奥2.7×同高105.1)

一軀

岩手県指定
指定年月日:20190416

有形文化財(美術工芸品)

遠野七観音巡礼第二番札所松崎観音堂の本尊像であり、現在、同堂内陣厨子内に安置される。近世の地誌によれば、同堂はもと大同年中(806~10)に草創された麦沢山松崎寺といい、本像は嘉祥年中(848~51)、慈覚大師円仁の作という。明治41(1908)年以来、同堂は近隣の西教寺の飛地境内地として、本像はその本尊像として、いずれも同寺の所有・管理に帰している。なお、同堂は、後述する本像墨書銘に記され、松崎地区に所在して江戸時代前期(17世紀第2四半世紀)頃に移転した養安寺と隣接あるいは旧境内地に含まれる可能性もあるが、現時点で同堂と養安寺との関係は不明である。背板材のほぼ全面にわたって墨書銘(別紙のとおり)を有する。墨書銘は一部が頭体幹部材に及んでいることから、背板材の接合後の書記と認められる。これは願意や関係者名が具体的で、その文意から造立供養銘とみて差し支えない。これにより、供養年月日、関係者名などの情報が読み取れる。本像は後述する岩手県域の歴史的文化的評価とともに、同時期の文献史料が潤沢とはいえない当地の営みの一端を今に伝える存在としても評価されるべきである。

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