紺紙金字 道神足無極変化経 巻上
こんしきんじ どうじんそくむきょくへんげきょう まきじょう
概要
京都・高雄山神護寺に伝来した一切経の遺巻。一切経は約五四〇〇巻の大部の物だが、『神護寺略記』によれば、鳥羽天皇(一一〇三― 五六)が発願し、後白河法皇(一一二七―九二)が施入している。中尊寺経や荒川経と共に平安時代後期の三大紺紙金字経として著名で、「神護寺経」と通称される。
表紙には金銀泥で宝相華唐草文を描き、見返しの扉絵にも同様に金銀泥をもって霊鷲山下釋迦説法図を描いている。文字は金の量も十分で、そのせいか巻子を持った感じはずっしりと手ごたえがある。磨きも十分で表面は鏡のように今でも輝いている。鍍金撥型花卉文の原軸、また、原紐を存し、よく原装を保っている。(『名筆へのいざない―深遠なる書の世界―』海の見える杜美術館2012 解説より)