和歌御詠草 「あたらしき」
わかごえいそう あたらしき
概要
鎌倉時代末の皇統、持明院統の伏見天皇は平安時代の上代様と呼ぶ和様を復興された名筆で知られ、その流れを伏見院流と称し、その伝統を見せる清廉な連綿体が美しい。改まった懐紙には見られない自由な散らしの中に、室町時代に定まった一句三句五句の墨継ぎが濃淡の奥行きとなっている。年頭の自詠の御和歌である。
享保年間(一七一六―一七三五)、伏見邸が出町北鴨口(河原町今出川下ル)に移転となった翌年のものであろうか。
(『名筆へのいざない―深遠なる書の世界―』海の見える杜美術館2012 解説より)