不忍之池
しのばずのいけ
概要
司馬江漢が天明年間(1781-1789)に制作した風景銅版画のひとつ。上野の不忍池を、その南岸から北方を望んだ構図となります。司馬江漢が描いた本図とほとんど同じ景観を今でも眺めることができます。浮世絵版画や秋田蘭画の画家たちがその景観を描く中、江漢は自身が開発した腐食銅版技法で、眼鏡絵(レンズと鏡を組み合わせた覗き眼鏡で鑑賞するための小型絵画で、左右を反転して描かれる)に仕上げました。なお、当時は多色刷り銅版の技法はなかったため、筆彩による彩色が施されています。なお、江漢はこれらの銅版眼鏡絵を鑑賞させるための反射式のぞき眼鏡も自製しており、その現物とされるものも神戸市立博物館に伝えられています。
【江戸の絵画】