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千手観音菩薩坐像

せんじゅかんのんぼさつざぞう

概要

千手観音菩薩坐像

せんじゅかんのんぼさつざぞう

彫刻 / 南北朝

南北朝時代・14世紀

木造、金泥塗・截金、玉眼

高83.7 台座高55.5 光背高115.2

1軀

 人々を救う存在である仏たちのなかでも、とくに観音菩薩は、苦しみ悩む人のもとにすぐに駆けつけて救ってくれるため、古来広く信仰されてきました。また観音菩薩はさまざまな姿にかたちをかえて人々の前にあらわれます。この像はその姿のひとつで、千手観音菩薩といいます。
 千手観音とは、千本の手で人々を救いあげる仏です。仏像で作られるとき、実際に千本の腕が作りあらわされるものはとても少なく、腕の数を省略したかたちであることが普通です。この像は、胸の前で合掌した2本の腕のほか、その周囲に「脇手」(わきしゅ)と呼ばれる腕が40本あらわされています。脇手の腕一本には25本分の力が備わっているとみなされ、それが40本あるので、合計して1000本の腕ということになるのです。
 この像はいつごろ、だれが制作したのでしょうか。角張(かくば)って扁平な顔や体つき、細かくうねる衣の襞(ひだ)などが特徴として挙げられます。これらは、14世紀中ごろ、中国彫刻の作風を取り入れて造像を行った、「院派仏師」(いんぱぶっし)彫像の特色です。院派は仏師の流派のひとつで、名前に「院」の字がつく作者が多いことから、このように呼ばれます。
 この像が乗る台座や背後の光背はほとんど作られた当時のままである点が貴重です。なぜなら、台座や光背はのちの時代に地震や火災などで壊れてなくなってしまったり、新たに作り直されたりすることが多いためです。材質に注目してみましょう。像や台座、光背の中心部分は木で作られていますが、光背の周縁部は銅でつくられています。文様をあらわす透かし彫りは非常に繊細で、技術の高さがうかがわれます。

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キーワード

/ 観音 / 菩薩 / 台座

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