柏庭宗松像
はくていそうしょうぞう
概要
袈裟には金泥の文様が施され、画面に華やかさを与えている。しかし、文様は三種に分かれる。特に、袈裟全体を覆うやや鈍い形態の花唐草文様は後世の補筆と思われる。田相部ではそれ以外に、より鋭い筆致を見せる二重蔓の花唐草が描かれているのが確認でき、これは本来の文様と見られる。一方、行の部分には、中央に卍を置いた入子菱の地文様に二重蔓の花唐草が見える。この内、入子菱を描く線には筆致の鈍さや末端の処理の甘さが感じられるが、形態としては比較的整っているので、ある時点で消えかかっていた元々の文様を丁寧になぞって描き起こしたものではないかと見られる。補筆はあるものの、オリジナルの状態を復元的に推定できるという意味では、史料的価値を大きく損なうことはないと考える。