石山寺蒔絵源氏箪笥
いしやまでらまきえげんじたんす
概要
源氏物語の冊子を収めるために制作された提(さげ)箪笥で、慳貪蓋造(けんどんふたづく)りで内部に2列3段の引出しを収めている。箪笥の天板の部分には銀板に打出しで「源氏物語」と刻まれている。意匠は、紫式部が源氏物語の想を得たという伝承のある石山寺の境内と近くを流れる瀬田川の景である。総体は濃密な梨子地(なしじ)で、その上から文様を金銀の高(たか)蒔絵で重厚に表現している。現存する石山寺蒔絵源氏箪笥としては最も古く、江戸時代初期に婚礼調度として調えられた作例としても貴重であることが、近年の研究により判明した。井上世外(いのうえせがい)旧蔵。
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