蒔絵曲禄
まきえきょくろく
概要
蒔絵曲禄
まきえきょくろく
愛知県
桃山時代末~江戸時代初期
本作品は、木造で、総体に黒漆を塗り蒔絵を施した交脚式の曲禄である。背は、緩やかな波打つ笠木を側柱に装架する。中央に長方形の背板を設け、これを下端で横板が受ける。横板は上・下に桟を渡し、間に柱を立てて3区に分かち、各々に板を嵌める。桟・柱ともに二条隆帯様に作る。柱は背部分のみ緩やかに反らせて、座より下は直線的に脚端に至る。座の皮はすべて欠失。皮は横桟に小孔をあけ、縫い留めた上で鋲留していたが、孔と15個の鋲はすべて残る。脚前側の踏み板と脚桟の間には3条に膨らみをもつ羽目板を設け、中央に海松貝文を透かす。
蒔絵の図様は、笠木に桐唐草、背板端の横板には菊・桐紋の組み合わせ、柱には薄に露、座の桟と踏み板には海松貝、脚前桟には葵、後桟には丁子唐草を表す。蒔絵技法は平蒔絵で、濃さを違えた絵梨地を主体とし、菊紋の一部、葵の花、貝の一部などを針描で表す。
金具は金銅製の桶形八双形で、笠木鼻、座桟鼻、踏み板鼻、脚桟鼻と柱の交差部に嵌める。素地に蹴彫りで桐紋を表し、鋤彫りは施さない。
高78.5cm 幅(背笠木)67.1cm (座框)49.4cm (脚)49.5cm
奥行(背板中央~脚前端)117.3cm (座)27.8cm
1基
岡崎市滝町字山籠107
愛知県指定
指定年月日:20200207
宗教法人 滝山寺
有形文化財(美術工芸品)
製作時期は、桃山時代末~江戸時代初期、17世紀前半とみられ、滝山寺の近世整備期に施入されたものと思われる。