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銅製鍍金経箱

どうせいときんきょうばこ

概要

銅製鍍金経箱

どうせいときんきょうばこ

金工 / 鎌倉

鎌倉時代、文永8年/1271年

銅製鍍金

 30.3×18.1×高8.4

1件



来歴:温泉寺伝来 2012神戸市立博物館

参考文献:
・神戸市立博物館『まじわる文化 つなぐ歴史 むすぶ美―神戸市立博物館名品撰―』図録 2019
・問屋真一・川野憲一「有馬温泉寺の銅製経箱」『神戸市立博物館研究紀要』第23号 2010

神戸市指定文化財

日本最古の温泉の一つ・有馬温泉の中心寺院・温泉寺に伝来した銅製の経箱です。身、蓋とともに鍛造によるパーツを組み合わせて制作しています。緊張感のある造形が見事です。蓋表と身の左右長側面に毛彫りによる以下の銘文があります。



(蓋表) 依閻魔法皇勧進奉納温山如法経

(右側面)文永八辛年末八月卅日 勧進比丘俊尊

(左側面)如法経箱 温泉山 



この銘文により、本経箱は、文永8年(1271)8月、閻魔法皇のために、僧俊尊が勧進し、温泉寺に埋納するための経典を納入するために制作されたことが分ります。

有馬には、平安時代末期の僧・尊恵【そんね】が閻魔王宮に行き、閻魔王から自筆の法華経を贈られ、全国を勧進して金紙金字の如法経(法華経)を有馬の如法塔の宝塔の下に埋めるよう進められた、という縁起が伝わっていました。本経箱は、このような尊恵と閻魔王の縁起をなぞる信仰によって制作され、如法塔下に埋められた一例と考えられます。

本経箱とほぼ同時代に制作されたと考えられる、温泉寺伝来の内・外箱一セットの経箱(社団法人有馬温泉観光協会蔵)も現存しており、有馬における閻魔王伝説の流布、如法経信仰の隆盛を忍ばせます。

現実と幻想の融合の中で歴史が生み出されていくことを実感させる、神戸にとって誠に貴重な資料です。



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キーワード

神戸 / 市立 / 図録 / 博物館

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