白磁蝶牡丹浮文大瓶
はくじちょうぼたんうきもんたいへい
概要
胴が長く、丸く張った肩が底に向かってすぼまった瓶(へい)です。白い土で瓶のかたちをつくり、上から釉薬というガラスを多く含んだ液をかけ焼き上げています。全体の色は、柔らかさを感じさせる白一色で洗練された印象を与えます。胴には六輪の牡丹がぐるりと囲むように配置され、肩の部分は大きな余白に五頭の蝶が飛んでいます。これらの文様は、胴の土を盛り上げたり彫り込んだりしながら浮き出すようにあらわし、葉脈などの細かい部分は線で彫り出しています。作者の三代清風与平(せいふうよへい)は、幕末から明治時代の人で、京都の陶工の清風家に養子に入り、明治11年(1878年)には三代目の名を継ぎました。与平は中国の陶磁器に大きな影響を受け、その表現にならいつつ多くの新しい技法を生み出して独自の表現をみせるようになりました。この瓶も、中国・清時代の磁器を参考にしたとみられますが、柔らかみのある白い色調と優しく浮き上がる文様は与平独自の表現で余韻を感じさせます。明治26年(1893年)にアメリカで開催され、世界各国の物産が集まったシカゴ・コロンブス博覧会に出品され、特に好評を博しました。