ヨハネ黙示録(11) またわたし、ヨハネは、聖なる都、新しいエルサレムが、神のもとを出て、天から下って来るのを見た。

版画  リトグラフ(石版画) / ヨーロッパ 

ルドン、オディロン (1840-1916)
1899年
リトグラフ・紙
29.5×23.3
額装

 ルドンは、デューラーの先例(→[8])に倣って、中世のキリスト教芸術において頻繁に視覚化された「最後の審判」の主題を除外し、黙示録の終曲としての「新しいエルサレム」の主題へと場面を進展させた。「高価な宝石のよう」に輝く聖なる都エルサレムは、碧玉の高い城壁をめぐらし、東西南北に計十二の門を構え、「透き通ったガラスのような純金」で造られている。ルドンはこの絵画化され難い対象を、しかも黒白のみを用いて見事に描出した。方形の聖都は簡略なスケッチ風の描線のみによって、威厳のある大宮殿の趣きを与えられ、画面上方で燦然と光り輝いている。ところで一体この建造物群は、すでに大地に降下し終えたものと見られるべきであろうか。この点については、空間的位置づけの点において少々曖昧であるにしても、手前の山との関係、並びに画面全体の視覚的印象から判断する限り、聖都は、主題としてのテキスト通りに、「夫のために着飾った花嫁のように用意をととのえて、神のもとを出て、天から下って来る」途上で、宙に浮いているものと観られるべきであろう。台形の黒い山は天使が「新しいエルサレム」を見せるために、ヨハネを連れて登った「大きな高い山」である。この山頂には、デューラーが描いた天使もヨハネも見られず、饗え立つ険しい山の姿は、白く輝く聖都の構築体とは対照的に、非定形的な黒の塊量(マッス)を厳かに示すばかりである。(中谷伸生)

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