木造如意輪観音坐像
もくぞうにょいりんかんのんざぞう
概要
太造りの体軀,ふくらみの強い髪際の地髪,張りのある頬に切れ長の眉根をもつ面長の顔立ち,肉身をおおう衣文の大柄で深い襞の表現など,その前後材をつなぐ水平束や前面材に像心束を彫り残す技法とともに14世紀,南北朝時代の典型的な院派仏師の作例。像内内刳り部分の布張りも当初のものである。現状の台座,光背は補作。
元弘3年(1333)鎌倉幕府が崩壊し北条氏一門滅亡後,足利氏の覇権確立に尽 力した佐竹一族は足利尊氏が重用した院派仏師を佐竹貞義も用いて以来常陸では院派仏師が活躍するようになるがこの像はその好例である。