象図 ぞうず

江戸 

渡辺鶴洲
わたなべかくしゅうひつ
1813年(文化10)頃/文化10年(1813)以降
絹本著色
42.2×56.5
1幅
落款:「鶴洲」
印章:「(印文不明)」(白文方印)「元成」(白文方印)

海辺の松樹のもとで、草を食む1頭の象。傍らでは赤い帽子を被り、髭をたくわえた異国の象使いが象の頭を撫でています。食欲と優しさに充たされたのか、象は満足げな表情。右方からは異国人の従者が草束を運んできており、この象の旺盛な食欲がうかがえます。上方の海に目をやると、中景にオランダの旗を掲げる艀、遠景には2艘の蘭船が描かれています。本作品は文化10年(1813)にオランダ船(実際にはイギリス船)が長崎にもたらした5歳の牝象を描いたものと考えられていいます。この象は長崎奉行立山役所で見分ののち、江戸幕府が受取を拒否したことで、わずか3ヵ月で送り返されました。渡辺鶴洲(1778-1830)は唐絵目利であったため、出島に繋がれた象を実見することができたと考えられています。陰影、体毛、シワなど、細部まで写実的な描写は、実物の象を見た経験と鶴洲の優れた技倆を伝える作品です。

【名品2019】【長崎ゆかりの近世絵画】

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