四君子・松・蘇鉄図屏風
しくんし・まつ・そてつずびょうぶ
概要
四君子・松・蘇鉄図屏風
しくんし・まつ・そてつずびょうぶ
鶴亭筆 (1722-1785)
かくてい
江戸時代、宝暦11年/1761年
紙本墨画
(各)139.6×53.4~55.2cm
6曲1隻
落款:松図「辛巳初秋﨑江 寉亭漫興」、梅図「瓊浦陳人浄博」、蘇鉄図「西海浄博製」、蘭図「瓊浦寉亭漫興」、竹図「博」、菊図「如是道人博」
印章:松図「我愛其静」(関防印、朱文楕円印)、「淨博之印」(白文方印)
松図以外「淨博之印」(白文方印)、「墨翁道人」(朱文方印)
来歴:1997神戸市立博物館
参考文献:
・神戸市立博物館・長崎歴史文化博物館特別展『我が名は鶴亭』図録 2016
・神戸市立博物館企画展『若芝と鶴亭―黄檗宗の画家たち』図録 2011
・千葉市美術館『伊藤若冲 アナザーワールド』展図録 2010
・神戸市立博物館特別展『コレクションの精華』図録 2008
・神戸市立博物館特別展『花と鳥たちのパラダイス』図録 1993
鶴亭は沈南蘋-熊斐の系譜に連なる著色花鳥画を得意とする一方で、黄檗僧の墨戯といえる水墨花木図も数多く手がけました。本作品は6曲1隻の押絵貼屏風で、向かって右から松、梅、蘇鉄、蘭石、竹、菊石を水墨で展開しています。屈曲する松樹の枝、せりあがるに鋭く伸びて香りを放つ梅、土坡から曲線を描いて伸びる蘇鉄の枝振りは大胆な力強さを見せています。一方で、太湖石の後ろで美しい曲線を描く蘭葉、微妙な墨の諧調で葉の重なりを描く竹、満開の花と墨のにじみが面白い菊と、繊細さも持ち合わせています。各図で落款が異なりますが、「崎江」「瓊浦」「西海」とあるのは、長崎出身を主張するとともに彼の矜持を示すものと思われます。鶴亭の押絵貼屏風の最初期作です。
【長崎ゆかりの近世絵画】