墨梅図
ぼくばいず
概要
左下から対角線上に勢いよく伸びる太い枝。その背後を交差するように細い枝が天を目指すかのごとく上方へ伸びています。本作品は天明5年(1785)秋、鶴亭が没するわずか数ヶ月前に甲府の旅亭で描かれたことが落款から判明します。鶴亭は同年12月24日に江戸・下谷池ノ端で歿しましたが、晩年においてなお甲府へ旅したことがうかがえます。黄檗あるいは俳諧の縁に拠る可能性があります。墨のにじみと筆のかすれに興を得ながら、大胆な枝振りと構図が魅力的な鶴亭流墨梅図を描く姿が想像される、最晩年の作品です。
【長崎ゆかりの近世絵画】